2025.5.25.トランプ関税で米国売り再び。米債券市場は不発。米欧通商交渉は難航。市場はリスクオフへ。

ども、OGです(‘ω’)ノ

現在の市場動向をまとめていきたいと思います。出来るだけFXに関係するものをピックアップして書いていきたいと考えていますので参考までに読んで頂ければと思います。

※本投稿は情報提供を目的としており金融取引を推奨する意図はありません。

物価を考える デフレの謎、インフレの謎

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市場動向

今週の通貨強弱。

リスクオン相場が続いていましたが、少しずつ市場はリスクオンへ。今までと違うのが米ドルの一人負けの状態。米ドルが売られ、他通貨が買われているような状況に見えます。特にリスクオフで買われる円やフラン、ゴールドなどが上昇している形。そして今回の関税問題からリスクオフ時のユーロ買いも目立ちますね。

物価を考える デフレの謎、インフレの謎

米国市場

米国はトランプ関税が4月2日に発表されてから米国売りが囁かれるようになりました。それは今現在も同じで基軸通貨国の国債が売られている状況が続いていると見られています。

米長期金利は去年の9月に底を試し、FRBもそれを受けて利下げを行ってた経緯がありますが、実経済は強く堅調で、金利も「正常な動き」として上昇。一時は4.8%にまで上昇するなど、再度5%が意識された中、トランプ大統領の関税政策が発表されインフレが意識されて金利も下落。4月2日に関税内容が発表されると一気に金利は3.8%台へ押し下げる形となりました。

トランプ大統領は金利が押し下がることや株価が一時的に下落することは想定内だったのか、あまり動じていない様子が伺えましたが、債券市場に関してはやはり痛手であったのか関税政策について態度を軟化させていきました。これにより株価は一気に巻き戻し、4月2日前の金利を超える回復(上昇)をみせました。

ただ依然として金利高ドル安ベースは変わっておらず、関税政策が発動までの90日間の猶予中ということもあり、株価も(株以外もですが)まだまだ不安定さを拭えません。長期金利の上昇が株価の頭を押さえているという形か。

米中の関税引き上げ合戦も米中の交渉がスイスで行われ意外とすんなり合意したり、英がいち早く米国との関税交渉を終結させたりするなど、少し市場には楽観ムードが出ていましたが、先週末ムーディーズが米国債を格下げすると報道があり、その影響は一時的とはいえ、市場の動きとしてまた米国売りに傾いた印象があります。

トランプ大統領としても、ドル安は歓迎でしょうが(輸出しやすい)金利高は受け入れがたいはず。後で詳しく書きますが、金利高ドル安は債券安を意味するものとして、それはトランプ大統領としてもネガティブな内容。利下げを促すなど、ドル安を歓迎する一方、基軸通貨としての強さは逃したくないのが本音だと思います。なので、関税政策発表以後の金利上昇によって関税政策に対しても軟化したものと思われます。

物価を考える デフレの謎、インフレの謎

新たな関税関連報道

トランプ大統領は、米国アップルに対しても「米国で製造しないiPhoneに関しては25%の関税をかける」と言及し一時アップルの株価は下落。ただ現状、それらを製造するためのサプライチェーンは中国に集中しており、それらを米国へ戻す、米国だけで製造するというのは技術的にも価格的にもかなりハードルが高そう。仮に作れたとしても価格がかなり跳ね上がるとみられており、ネガティブな要素に思います。

トランプ大統領はEUとの関税に言及し、6月1日よりEUからの輸入品に50%の関税をかけると言及。かなり大きなショックとなりEU株価は下落をみせました。ECBの利下げは年内あと2回程とみられていましたが、これにより利下げへ織り込みは前進した形です(年内3回程)。ただ米ドルが大きく売られており通貨自体(ユーロ)は現在はそれほど影響を受けていない状況下にあります。またトランプ大統領はEUに対して「EUにはディールしない。」とも語っており、米国内生産へ切り替えるならば関税は掛けないともしていることから今後の再交渉に注目が集まります。5月に報道があったEUが米国との協議決裂の際に用意しているとされる1000億ユーロ規模の報復関税リスト動向も気になるところ。

ベッセント米財務長官が「複数の大規模な」貿易合意が数週間内に発表される可能性はあると言及。中国とは再び対面で関税交渉を行うことになるだろうともコメントしています。その中でやはり「EUだけ例外」だとし進展がないことを意味していると思われますが、その他の国々での合意は近々見られそう。市場にはポジティブに影響した模様です。

関税リスクはまだ終わっていない

先に書いた通り、先日のスイスで行われた米中間の関税交渉においてトランプ政権が一旦対中関税率を145%から30%に引き下げ、さらに90日間の発動までの猶予を持つことで合意しました。一時的な休戦ではあるものの、依然として大きなリスクをはらんでいると言えるかと思います。

確かに株価は下落前の水準へ戻り、なんならそれを上回る巻き戻しを見せたわけですが、全く問題の解決には至っていないのが現状です。現在の米国は中国に30%、他国にベースとして10%を課したままであるということです。中国を見てみると現在の実効関税率は13%にまで上がっており、トランプ政権までの中国の関税率は2.5%であったことを考えるとこのリスクの大きさに気付くのではないでしょうか。

さらに米国の深刻さを裏付けるものとして金利上昇があります。超長期金利(30年債)に関してはタームプレミアムの要因で大きく上昇し現在5%を超えて来ています。ドル安の中この現象は米国債離れが継続していることを意味していそう。

米国財政赤字の拡大も大きな問題でありますし、その金利が上昇するとさらに痛手になりそう。先ほども触れましたが、大手格付け会社ムーディーズは5月17日に米国債の信用格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」へ引き下げる決定を下したばかり。市場もこの米国の財政赤字には敏感に反応。現在、金利の入札が不調に終わると一気に金利が上昇する形で、米国の財政不安は継続して水面下にあり着実に進行していくと見られており、今後も金利動向、債券動向には注意が必要になるものと思われます。

為替で言えば大きく変わったのがドル動向ではないでしょうか。今まではリスクオフにはドル買いのリスクオフになりやすかった地合いでしたが、米国の財政悪化リスクが大きく市場にあるため、ドルが今までのように無条件に買われる通貨ではなくなっているように思います。つまりドル離れが進んでいることを意味します。そうみると他方で関税問題で揺れているのは他国ではなく米国かもしれませんね。

先にも触れましたが、4月2日の関税ショックから株価はV字回復を見せています。。米中通商交渉
の一旦の合意、英国との交渉終結などを受け、一時はVIXも60程まで上昇した後、関税発表前の水準へ戻しています。それを考えると株価も戻しても当然という見方も出来ます。結局は市場の動向は市場の期待感によって左右することが多く、今回も不安視されたことによって右往左往したと言えるかと思います。

そうみると、今後もまだ不確実性が排除されたわけではなく、「一旦落ち着いた」だけとも言えるかと思います。米国が示す相互関税は一律にベースとして10%は課されたままであること(実行されるであろう関税率は今までの比ではない)、米中関税交渉もこれからもまだ継続すること、EUとの関税交渉も難航していることなど、不安材料は多くあります。それらの報道の度に市場は動くことが予想されます。ただ市場は「慣れる」ことも予想され、4月2日ほどのビッグサプライズがない限りあれほど動くことはないとの見方もあります。

どちらにせよ米国自身に対しても、インフレへの警戒感は否めないですし、経済状況もこれから悪化する可能性もあります。インフレを警戒するがあまり利下げが遅れることもあるかもしれません(トランプ大統領はすでに遅いと言及していますが)。様々な要因が不安材料であることは間違いない状況です。

これからどんどん米国経済指標により関税後としての指標データが出てくるものと思われます。関税による値上げなど、インフレデータを中心に製造業、雇用などがどのような数値を見せるのかに注目が集まります。

現状FRBも利下げに踏み切れないのはパウエル議長がいつも言うように「データ次第」であるのと、相互関税がもたらすリスクを把握出来ていない(データに出ていない)からだと思われます。先日のFOMCではパウエル議長はタカに寄った姿勢を示したわけですが、関税リスクがどの程度か見極める必要があるということだと思われます。

経済データ自体をみれば、高すぎる金利に対して徐々に利下げしていっても良さそうには見えますが、経済は鈍化しているものの堅調に動いており、金利高をそれほど苦としていないのがわかります。データの悪化が著しいのであれば利下げとなると思いますが、それほどでもない中関税リスクをケアしなければならない現状、すぐに利下げはしにくい印象を受けます。

現在米国は年内あと2回の利下げを織り込んでいます。関税発動の90日を過ぎた7月ぐらいから関税の影響を受けたデータが出てくるとし、利下げはそれからだという見方だと思います。年内利下げには消極的な意見も散見され始めており、本格的な利下げは来年からになるか。

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5/26週の経済指標その他

来週経済指標は、5月カンファレンスボード消費者信頼感指数やPCEデフレーターなどが重要指標として予定されています。FOMC議事録や各連銀総裁の会見なども予定されており、現在の所感を把握したい。

あと、株方面で言えばNVIDIAの決算があります。

米国の財政不安、債券売り、金利上昇など、関税関連も含めて一旦の悪材料は出ている状況です。来週はまた新しいネガティブ要素がなければ少し落ち着くかなという所。ただドル安ベースでは動いていくとは見ているので値頃感でのトレードは注意したい。

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日本市場

米国との交渉も報道はあれどまだまだ進展はしていない様子。日本は最初の交渉相手となり、今回の関税交渉の各国のモデルケースとも言われていましたが、英国との交渉が先に終結したことによりそれもなくなりました。

報道によれば日本は「関税ゼロ」(撤廃)を目標に早期終結はそれほど求めていない姿勢にみえます。ここにきて米国債の保有国として存在感が出ているのか。前回ブログでも書きましたが、特に主要産業である自動車関連事業に対する関税の引き下げを得られない限り交渉を結ぼうとはしない姿勢であれば、かなり長引きそう。対米の日本のデジタル赤字の話も出ているとは思いますが、今後どうなるのか注目ですね。交渉の内容自体は表に出ていないので追って確認したい。

日銀が政策金融決定会合によって金利を据え置きにし、日銀総裁のコメントもかなりハトに振れたことで市場は円安に振れていましたが、トランプ関税政策を巡る動きにより市場はリスクオフをベースに進んでいる状況です。円安に振れる局面もありますが一時的。やはり市場の様相はリスクオフをベースに動いている言っていいと思われます。

ただ米国売りによるドル安が大きく作用しており、以前のように実質金利の金利差そのままで動いているわけではないことは頭に入れておきたい。米国の煽りを受けてか日本の10年金利は上昇をしており円安には振れにくい状況です。利上げサイクルにある中、利上げに舵を切れないという状況は今後も続きそう。トランプ関税リスクが緩和し始める時に日本経済が利上げに向かえない状況であればまた大きく円安に振れる可能性が大きくなってくるので注意したい。

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欧州市場

ユーロ圏

ユーロ圏の5月PMIは総合で49.5と先月(50.4)から低下し、5カ月振りに50を下回る結果に。製造業は依然として50を下回るものの49.4と5カ月連続の上昇。2022年8月以来の水準へ。PMIサービスは50.1から48.9へ低下し、6カ月振りに50を下回りました。

製造業は⾦利の低下(利下げが効いているか)やエネルギー価格(原油価格)の下落に加えて、トランプ関税適⽤前の駆け込み需要(生産)も上昇の一因ではないかとみられています。市場が不安視しているのはサービス業。インフレに大きく作用されるサービス業が下振れしていることで賃金の伸びが鈍化しているのではないかと不安視されており、今後の雇用や賃金については注目したい。今後の利下げについても前進した形となり、織り込み済みではあるものの来月の利下げの可能性はさらに高くなったのではないでしょうか。

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英国

先日BOEは利下げを行ったものの市場は会合をタカ寄りだったと意識しておりポンド高は継続。金融政策についてそれほど変更点がなく、利下げへ積極的ではない(利下げ織り込みが進展していない)ことが見えたことでポジティブに捉えたものと思われます。

現状、英経済は高インフレ、高金利、供給制約などが重しとなり経済は鈍化傾向にあると見られていますが、今週発表された4月消費者物価指数は総合、コア両方で強い数値が出ており、これがポンド高の要因となっています。光熱費、水道料金、自動車税など政府の管理された価格の影響が大きく、さらに航空運賃や旅行、イースターの影響が大きいのではないかと見られています。英国の問題の一つであるインフレについては7~9月で一時的に上昇も予想されており、市場では織り込み済みとは言え今後のインフレ、賃金には要注意。

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為替動向

ドル円

ドル円日足です。

ドル円は上値が重く下落。直近高値を越えられずに失速していることから、ここで安値を割るのかどうかがポイントになりそう。二番底試しの形となり安値切り上げ(Wの形)で反発し上昇出来るのかどうか。このまま安値を割るようだと大きく傾く形になりそう。

ファンダメンタルズ的には現状リスクはまだある中、とりあえずの悪材料は出尽くした形。ドルの巻き戻しがあるか。ただ中東情勢、ロシアウクライナ情勢、EUへの関税に対する報復などがあるのかどうか。リスクオフが続けばさらに上値が重い展開になりそう。

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では!!

OG@ドル円は友達

複数事業の経営者で兼業トレーダーです。 ”OGの相関性サイクル理論”をもとに”トレード”という本質を考えて出した答えがこれ。「全てのチャートは全てのチャートのオシレーター」。